「SEOを外注したいが、どれくらいの費用が妥当なのか分からない…」
工務店の経営者様なら一度はこんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。
業者ごとに料金が違いすぎて判断できない、費用に見合った効果が出るか不安。こうした悩みは本当によく聞きます。
実際に私も7年前に工務店向けマーケティング支援を始めた時、「月1万円でSEO対策します」という業者から「月30万円は必要です」という業者まで、あまりの価格差に困惑した経験があります。
この記事では、工務店がSEO対策を依頼する際の費用相場・内容・選び方を詳しく解説します。自社でできる対策や、費用対効果を最大化するポイントも紹介します。

そもそもSEOとは?工務店に必要な理由
検索からの流入は「営業しなくても選ばれる」導線
SEO(Search Engine Optimization)とは、検索エンジンで上位表示させるための対策のことです。工務店にとっては、「営業をかけなくても選ばれる仕組み」を作る重要な施策といえます。
従来の工務店の集客といえば、飛び込み営業や紹介、チラシ配布が主流でした。しかし現在では、住宅を検討する73%の人が「まずはネットで調べる」という調査結果が出ています。
つまり、SEO対策で検索上位に表示されることで、お客様の方から見つけてもらえるのです。営業コストを削減しながら、質の高い問い合わせを獲得できる理想的な集客手段といえるでしょう。
「◯◯市 工務店」で上位表示されると反響が大きい
工務店のSEO対策で特に重要なのが、地域名を含むキーワードでの上位表示です。「札幌市 工務店」「名古屋 注文住宅」といった検索で1位〜3位に表示されると、月に数十件の問い合わせが発生することも珍しくありません。
地域密着型の工務店にとって、地域名での検索上位表示は極めて費用対効果の高い施策です。なぜなら、地域名で検索する人は「その地域で家を建てたい」という明確な意図を持った見込み客だからです。
SNS・MEOと比べて”ストック型”の集客手段
InstagramやFacebookなどのSNSマーケティングも重要ですが、これらは投稿をやめると効果が薄れる「フロー型」の集客手段です。一方、SEO対策は一度上位表示されると継続的に集客効果を発揮する「ストック型」の施策です。
MEO対策(Googleマップ最適化)も重要ですが、検索結果での上位表示と組み合わせることで、より広範囲からの集客が可能になります。SEO対策で「信頼できる工務店」としてのブランドを構築し、MEO対策で地域での認知度を高める。この組み合わせが、現代の工務店マーケティングの王道パターンです。
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工務店SEOの費用相場と内訳
① 初期設定・サイト診断(5万円〜20万円)
現状の課題抽出・構造チェック・競合分析
SEO対策の第一歩は、現在のWebサイトの問題点を洗い出すことです。初期診断費用は5万円〜20万円が相場となっています。
具体的な診断内容は以下の通りです:
- サイト構造の技術的チェック(表示速度、モバイル対応など)
- 競合他社の分析(どのキーワードで上位表示されているか)
- 現在の検索順位調査
- コンテンツの質と量の評価
私の経験では、しっかりとした初期診断を行わずにSEO対策を始めても、的外れな施策になってしまうケースが非常に多いです。費用はかかりますが、成功への投資として考えることが重要です。
タイトルタグ/メタ情報/パンくずリスト最適化
初期設定の中でも特に重要なのが、基本的なSEO要素の最適化です。これには以下が含まれます:
- 各ページのタイトルタグ設定(地域名+サービス名の組み合わせ)
- メタディスクリプション(検索結果に表示される説明文)
- パンくずリスト(ユーザーが今どのページにいるかを示す)
- 見出しタグ(h1、h2、h3など)の構造化
② 月額SEO運用(3万円〜15万円/月)
キーワード設計・コンテンツ企画・ライティング
継続的なSEO運用の費用相場は月額3万円〜15万円です。この価格帯の違いは、主にサービス内容と対応範囲によって決まります。
月額3万円〜5万円の場合:
- 基本的な順位チェック
- 月1〜2記事のコンテンツ制作
- 簡易レポート
月額8万円〜15万円の場合:
- 詳細なキーワード戦略立案
- 月4〜8記事の高品質コンテンツ制作
- 競合分析と改善提案
- 技術的な内部対策
- 詳細な効果測定レポート
順位チェック・レポート報告・リライト対応
月額運用に含まれる重要な要素が、継続的な改善活動です。SEO対策は「やって終わり」ではなく、常にGoogleのアルゴリズム変化や競合の動きに合わせて調整していく必要があります。
具体的には以下のような作業が含まれます:
- 週次または月次での順位チェック
- アクセス解析データの分析
- 既存記事のリライト(更新・改善)
- 新しいキーワードの発掘と対策
- 技術的問題の発見と修正提案
③ コンテンツ制作単体(記事単価1万〜5万円)
地域名・間取り・構造別など、SEO狙いのブログ記事
SEO記事制作のみを外注する場合、1記事あたり1万円〜5万円が相場です。価格の違いは記事の品質と専門性によって決まります。
工務店向けのSEO記事として効果的なテーマ例:
- 「札幌市で注文住宅を建てる際の注意点」
- 「30坪の平屋間取りプラン集」
- 「木造住宅のメリット・デメリット」
- 「住宅ローンの選び方(○○市編)」
- 「工務店とハウスメーカーの違い」
外注・ライター依頼時の相場と注意点
コンテンツ制作を外注する際の注意点をいくつか挙げておきます:
- 建築業界の知識があるライターを選ぶ:専門用語や法規制を正しく理解している必要があります
- 地域情報を盛り込める体制:地方の工務店の場合、その地域特有の情報が重要です
- 施工事例の活用:実際の施工写真や事例を記事に組み込めるかどうか
- SEOライティング技術:単に文章を書くだけでなく、検索エンジンに評価される構成になっているか
私の経験上、安価なライターに依頼して「とりあえず記事数を増やす」よりも、質の高い記事を月2〜3本制作する方が長期的な効果は高いです。
④ 成果報酬型・格安型(1万円未満〜)
順位保証型/自動ツール型のリスクと限界
市場には月額1万円未満の格安SEO対策も存在します。これらは主に以下のパターンです:
- 成果報酬型(上位表示された日数分だけ課金)
- 自動ツール中心の対策
- 海外の格安SEO業者
- 被リンク販売中心の古い手法
成果報酬型は一見魅力的ですが、「競合の少ないキーワードで上位表示して課金する」「順位だけ上がっても問い合わせに繋がらない」といったリスクがあります。
費用対効果の高いSEO対策の考え方
短期で結果を求めない(最低6ヶ月〜)
SEO対策で最も重要な心構えが「長期目線で取り組む」ことです。効果が出始めるまで最低でも6ヶ月、安定するまでは12〜18ヶ月かかると考えておきましょう。
「1ヶ月で結果を出します」という業者は要注意です。そうした短期的な手法は、Googleのペナルティリスクが高く、長期的には逆効果になる可能性があります。
正しいSEO対策の効果推移は以下のようなイメージです:
- 1〜3ヶ月目:基盤整備期間(効果はほとんど見えない)
- 4〜6ヶ月目:徐々に順位上昇が始まる
- 7〜12ヶ月目:安定した上位表示と問い合わせ増加
- 13ヶ月目以降:継続的な成果と更なる拡大
狙うべきキーワードの選定が成果を左右する
工務店のSEO対策成功の鍵は、「どのキーワードで上位表示を狙うか」の戦略にあります。単純に検索数が多いキーワードを狙えばいいわけではありません。
効果的なキーワード選定の考え方:
- 地域密着キーワード:「○○市 工務店」「○○区 注文住宅」
- 悩み解決キーワード:「注文住宅 予算」「工務店 選び方」
- 商品特化キーワード:「木造住宅 メリット」「平屋 間取り」
- 競合比較キーワード:「工務店 ハウスメーカー 違い」
SEOだけでなくMEOやSNSとの連携で反響が倍増
現代のデジタルマーケティングでは、SEO単体ではなく、MEO・SNS・Web広告との連携が重要です。それぞれの特徴を活かした統合戦略を構築しましょう。
- SEO:検索からの継続的な集客(中長期効果)
- MEO:地域検索での即効性(短期効果)
- SNS:ブランド認知とファン化(継続的な関係構築)
- Web広告:急速な認知拡大(短期集中効果)
この4つを組み合わせることで、相乗効果が生まれます。SEOで信頼性を高め、MEOで地域での存在感を示し、SNSで親しみやすさを演出し、必要に応じて広告で加速させるという戦略が理想的です。
「問い合わせにつながる動線」が設計されているか?
SEO対策で上位表示されても、サイトを訪れた人が問い合わせしやすい設計になっていなければ意味がありません。
問い合わせ導線で重要なポイント:
- 電話番号の分かりやすい表示:ヘッダーやフッター、各ページに配置
- 問い合わせフォームの最適化:入力項目を最小限に、送信完了まで迷わない設計
- 資料請求やモデルハウス見学の導線:いきなり契約ではなく、段階的なアプローチ
- 施工事例の魅力的な展示:実績とビフォーアフターを分かりやすく
- お客様の声や評判:第三者の評価で信頼性を高める

費用だけで選ばない!SEO業者選びの注意点
建築・住宅業界に特化した実績があるか?
SEO業者を選ぶ際の最重要ポイントは、建築・住宅業界での実績と知識です。一般的なSEO対策と工務店のSEO対策では、必要な専門知識が大きく異なります。
住宅業界特有の要素:
- 建築基準法や省エネ基準などの法規制に関する正確な知識
- 住宅ローンや税制といった金融・税務の基本理解
- 木造・鉄骨・RC造などの構造に関する専門用語
- 地域の気候や土地柄を考慮した提案内容
- 顧客の検討期間の長さを理解したコンテンツ戦略
「どんな業界でもSEOは同じ」という業者は避けるべきです。住宅は人生最大の買い物であり、お客様の検索行動や悩みも他業界とは全く異なります。
地域名や施工事例の活かし方を理解しているか?
工務店SEOの成功には、地域性と施工事例の効果的な活用が不可欠です。優良なSEO業者なら、以下のポイントを提案してくるはずです:
- 地域別ページの戦略的構築:市区町村ごとの特色を活かしたコンテンツ
- 施工事例の構造化:間取り・予算・工期などで分類した見せ方
- お客様の声の活用:実際の体験談を検索キーワードと連動させる
- イベント情報との連携:見学会や相談会の集客にもSEOを活用
継続的な改善提案・レポートがあるか?
SEO対策は「やって終わり」ではありません。Googleのアルゴリズム変更、競合の動向、季節的な検索トレンドの変化に合わせて、継続的な改善が必要です。
優良業者が提供すべきレポート内容:
- 検索順位の推移:主要キーワードの月次変動
- 流入数とコンバージョン:問い合わせに繋がったキーワードの分析
- 競合分析:他社の動向と自社の相対的な位置
- 改善提案:次月以降の具体的な施策案
- 技術的な問題点:サイト速度やモバイル対応などの課題
月1回の数値報告だけでなく、「なぜその結果になったのか」「来月は何をすべきか」まで説明してくれる業者を選びましょう。
丸投げではなく、二人三脚で運用できるか?
最も重要なのは、業者との信頼関係とコミュニケーションです。SEO対策の成功には、工務店側の協力と理解が不可欠だからです。
理想的な協力体制:
- 施工事例の提供:業者がコンテンツ制作に使える素材の準備
- お客様の声の収集:実際の体験談や評価の共有
- 地域情報の提供:その地域ならではの特色や課題の共有
- イベント情報の連携:見学会や相談会のスケジュール共有
- 定期的な打ち合わせ:月1回程度の戦略会議の実施
「全部お任せください」という業者よりも、「一緒に頑張りましょう」という姿勢の業者の方が、長期的には良い結果を出すことが多いです。
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自社でできる工務店SEO対策【無料〜低コスト】
① タイトル・見出しに地域名を入れる
最も簡単で効果的な自社SEO対策が、タイトルと見出しへの地域名挿入です。これだけで検索順位が大幅に改善するケースも多くあります。
改善例:
- 改善前:「注文住宅の設計から完成まで」
- 改善後:「札幌市の注文住宅|設計から完成まで○○工務店」
- 改善前:「自然素材の家づくり」
- 改善後:「名古屋市で自然素材の家づくり|無垢材住宅なら○○工務店」
ポイントは、「地域名+サービス内容+会社の特徴」を32文字以内にまとめることです。検索結果で表示される文字数には限りがあるため、重要な情報を前半に配置しましょう。
② 施工事例を「◯◯市/△△町」など地名でまとめる
施工事例ページは工務店SEOの宝庫です。地域別・タイプ別で整理することで、複数のキーワードで上位表示を狙えます。
効果的な施工事例の分類方法:
- 地域別:「札幌市中央区の施工事例」「札幌市西区の施工事例」
- 間取り別:「30坪の平屋建築事例」「40坪の2階建て事例」
- 予算別:「2000万円台の注文住宅」「3000万円台の注文住宅」
- 構造別:「木造住宅の施工事例」「鉄骨住宅の施工事例」
- コンセプト別:「自然素材の家」「省エネ住宅」「バリアフリー住宅」
③ よくある質問(Q&A)記事を増やす
Q&Aコンテンツは、お客様の検索意図と完全に一致するため、SEO効果が非常に高いコンテンツです。実際にお客様から受けた質問をベースに作成しましょう。
工務店向けQ&A記事のテーマ例:
- 「注文住宅の契約から完成までの期間は?」
- 「工務店とハウスメーカーの違いは何ですか?」
- 「住宅ローンの事前審査はいつ行うべき?」
- 「土地探しから相談できますか?」
- 「建築費用以外にかかる諸費用はいくら?」
- 「地震に強い住宅の特徴は?」
- 「省エネ住宅の補助金について教えて」
各Q&Aには、実体験に基づいた具体的な回答を書くことが重要です。一般論ではなく、自社の経験や地域特性を織り交ぜた回答にすることで、他社との差別化を図れます。
④ Google Search Consoleで順位を定期確認
Google Search Consoleは、Googleが無料で提供するSEO分析ツールです。これを使うことで、自社サイトの検索パフォーマンスを詳細に把握できます。
チェックすべき重要項目:
- 検索クエリ:どんなキーワードで検索されているか
- 掲載順位:各キーワードでの現在の順位
- クリック率:検索結果に表示された時のクリック率
- インデックス状況:Googleに正しく認識されているページ数
- エラー状況:サイトの技術的な問題の有無
月に1回でも良いので、これらのデータを確認する習慣をつけることで、SEO対策の効果を自分で測定できるようになります。
⑤ MEOとの併用で上位表示の確率を上げる
最後に、SEOとMEO(Map Engine Optimization)の併用について説明します。両方で上位表示されることで、検索結果画面での占有率を高めることができます。
SEOとMEOの使い分け:
- SEO:情報収集段階のお客様にアプローチ(「注文住宅 選び方」など)
- MEO:行動段階のお客様にアプローチ(「近くの工務店」など)
MEOの基本対策は比較的簡単で、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の情報を充実させるだけでも効果があります。写真の追加、営業時間の正確な設定、お客様からの口コミへの返信などを継続的に行いましょう。
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よくある質問(Q&A)
Q1. 工務店でSEO対策に月いくらかけるべき?
A. 一般的には月3〜10万円の範囲が多いです。商圏の競合状況や目標によって変動しますが、月5万円程度から始めて効果を見ながら調整するのが現実的です。地方の工務店なら月3〜5万円、都市部で競合が多い場合は月8〜15万円を目安にしてください。
Q2. 月1万円以下の格安SEO代行ってどうですか?
A. 自動ツール中心で人的サポートがなく、効果が出にくいケースが多いです。特に工務店のように専門性が高く、地域性が重要な業界では、業界理解のあるパートナーを選ぶことが重要です。安さだけで選ぶと、結果的に時間とお金の無駄になる可能性があります。
Q3. コンテンツ制作だけ依頼しても意味ありますか?
A. コンテンツは重要ですが、キーワード戦略や内部構造とセットで効果が出ます。記事だけ量産しても、サイト全体の設計が不適切だと検索上位表示は困難です。戦略設計込みでの依頼が理想ですが、予算が限られる場合は、最初に戦略だけでも相談することをお勧めします。
Q4. どれくらいで効果が出始めますか?
A. キーワードの競合状況にもよりますが、早くて3ヶ月、一般的には6〜12ヶ月が目安です。ただし、地域名を含むニッチなキーワードであれば3〜4ヶ月で効果が出ることもあります。重要なのは短期で諦めず、継続的に取り組むことです。
Q5. ブログとSEOの違いは?
A. ブログ=コンテンツ、SEO=その見せ方と設計です。ブログは記事を書くこと、SEOは「誰に」「何を」「どこで」見せるかまで設計することです。ただ記事を書くだけでは検索上位表示は困難で、キーワード選定、タイトル設計、内部リンク構造なども含めた総合的な対策が必要です。
Q6. 自社でSEO対策をする場合の注意点は?
A. 最も重要なのは継続性と正しい知識の習得です。間違った方法でペナルティを受けるリスクもあるため、最低限の基礎知識は身につけてから始めましょう。また、効果測定のために Google Search Console は必ず導入してください。
Q7. SEOとリスティング広告、どちらを優先すべき?
A. 予算に余裕があれば両方、限られるならSEOを優先することをお勧めします。リスティング広告は即効性がありますが費用が継続的にかかる一方、SEOは時間がかかりますが一度上位表示されると長期的な効果が期待できます。工務店のような継続的な集客が重要な業種では、SEOでの資産構築が重要です。
まとめ|費用をかけるなら”設計と継続”に投資しよう
工務店のSEO費用相場は月3〜10万円が目安ですが、単純に価格だけで判断するのは危険です。重要なのは、その費用で「何をしてくれるのか」「どんな成果が期待できるのか」を明確にすることです。
今回解説した内容をまとめると:
- 初期診断・設定:5〜20万円(サイト全体の課題抽出と基盤整備)
- 月額運用:3〜15万円(継続的な改善とコンテンツ制作)
- 効果が出るまで:6〜12ヶ月の継続が必要
- 業者選び:建築業界での実績と二人三脚の姿勢が重要
SEO対策は短期成果ではなく”資産型集客”と捉えることが大切です。一度上位表示されれば、営業コストをかけずに継続的にお客様に見つけてもらえる仕組みができあがります。
工務店の皆様が、適切なSEO投資によって継続的な集客基盤を構築し、地域で選ばれ続ける工務店として発展されることを心から願っています。